エアコンは、ヒートポンプという技術を使って室内を冷やしたり暖めたりします。
ヒートポンプは、空気中の熱をかき集めて大きな熱エネルギーを利用する技術です。
暖房や給湯など加熱で使用する場合、最新のヒートポンプエアコンは投入エネルギーに対して、約7倍の熱エネルギーを得ることができます。電気ヒーターや石油・灯油を燃焼させての加熱は投入エネルギーと同等の1倍ですので大差ですね。
使ったエネルギーより多くの熱エネルギーを得ることができるところが省エネになります。
移送方向(冷媒の流れ)を切替えることで、冷却にも加熱にもこの技術が使用できることから、エアコンの冷暖房や冷蔵庫、エコキュートなどさまざまな製品に使用されています。
特に冷却をおこなう製品については、ほぼすべての分野でこの技術が使用されています。
この熱エネルギーを移動させるのに欠かせないのが「冷媒」です。
冷媒に使用する化合物は、自然冷媒のアンモニアやエーテルから、扱いやすい代替品が次々と開発されていきました。
1920年代後半にフロン12が開発されました。開発したのは、車メーカーのゼネラルモーターズの傘下企業です。開発当時は夢の化学物質ともてはやされたみたいです。
1970年代にオゾン層破壊が問題化したときに、フロン類(CFC)は原因物質とされ1980年代に、製造禁止が決定され1995年末に生産中止となります。
代替フロンはオゾン層の破壊程度が小さい化合物での開発がすすみ、HCFCという種類の冷媒が主流になります。エアコンではR22、カーエアコンではR123が有名です。
しかし、HCFCも1996年から生産規制となり2019年末に実質全廃となりました。
現在は、オゾン層を破壊しないタイプのHFCという種類の冷媒が主流となりました。
R407C、R410A、R32などが有名です。しかし、二酸化炭素の675~2090倍も温暖化係数が高いことが問題になっています。
過去100年間で進化したヒートポンプ技術をささえるため、安全性・経済性・環境性・性能を考慮した次世代冷媒の研究が、今後も続いていくと思います。
私たちにできることは、空調機の入替や修理の時に冷媒を適切に回収して大気に放出しないことしかありません。
特にR22冷媒を使用したエアコンは、冷媒の入手が今後困難になり価格も高騰することが予想されています。最新のエアコンはR22を使用したエアコンと比較して、効率も圧倒的に良いです。更新後3年ほどで、更新費用(機器・工事)を電気代削減分でまかなえる場合も多いです。